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企画展示

第四回企画展 久保田沙耶展覧会
「砂と泉」
SAYA KUBOTA EXHIBITION

​会期:

2024年10月19日土曜日

2025年1月26日日曜日

協力:

 久保田沙耶は、倉吉市明倫地区で行われてきたアーティスト・イン・レジデンス事業「明倫AIR」の招聘アーティストとして2017年より2023年まで毎年倉吉へと通い、滞在制作と発表を続けてきました。郷土の文化や風習、歴史、芸術作品などのリサーチを重ねる中で、1920年に中井金三らによって設立された総合芸術団体「砂丘社」とその周辺の作家たちに注目します。久保田はそれらの作品の模写を重ねることで身体的に会得した感覚から、砂丘社の同人たちが相互に技法の共有をしていたのではないか、といった仮説を導き出し、またその技法や特徴を自らの作品制作に取り入れるという試みを続けてきました。
 本展で展示するシリーズ〈とりいそぐかたち/ The shape for now〉は、数年に渡る模写や作家たちの振る舞いの模倣を通じて、倉吉の先人たちに学んだ「手癖」を活かした集大成とも言える作品です。倉吉の街中で咲きかけの椿に「未来の予感」と「過去の名残」を留めた姿をみた久保田は、そのような複数の時間軸を同時に含むようなブレを含んだ絵画が描けないか、と考えたといいます。模写を重ねるうちにいつからか引けるようになってきた新たな「線」を活かし、長谷川富三郎や徳吉英雄といった郷土の作家たちがこれまでも描いてきた「椿」や、長谷寺の「絵馬」などのモチーフを、現代倉吉の風景としてあらためて描きます。久保田の作品としては珍しいモノクロの絵画は、息を殺し、先人たちの気配を感じながら、動き出す線の声を聞くことに集中した結果だと言えるのかもしれません。
 タイトルの「砂と泉」は砂丘社の詩人、河本緑石による宣言文『砂丘 創生之記』(1921)に由来します。「砂丘社」の「砂丘」は倉吉の北の海沿いに広がり、過酷な灌漑の歴史を持つ北条砂丘を指します。砂丘開拓地に湧いた「泉」のように、「未墾地」に「最初の鍬」を取るようにと始まった砂丘社の歴史を、源泉から今に続く水脈のひとつひとつを辿るように久保田はリサーチしてきました。本展で久保田の描く個々の線に、複数の郷土の作家たちの気配が感じ取れるでしょう。

アート格納庫M 岡田有美子

久保田沙耶展覧会「砂と泉」について

久保田沙耶 SAYA KUBOTA

久保田沙耶
1987年茨城生まれ。東京、鳥取、宮城、兵庫などを拠点に活動。筑波大学芸術専門学群卒業。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、同博士号取得。
日々の何気ない光景や人との出会いによって生まれる記憶と言葉、それらを組み合わせることで生まれる新しいイメージやかたちを中心に、平面や立体作品、さらには独自の装置を用いたインスタレーションなど、様々なメディアを駆使しながら制作を続ける。
主な個展に「material witness」(大和日英基金 / 2016)、主なプロジェクトに「漂流郵便局」(瀬戸内国際芸術祭 / 2013~)など。

久保田沙耶は、倉吉市明倫地区で行われてきたアーティスト・イン・レジデンス事業「明倫AIR」の招聘アーティストとして2017年より2023年まで毎年倉吉へと通い、滞在制作と発表を続けてきました。郷土の文化や風習、歴史、芸術作品などのリサーチを重ねる中で、特に1920年に中井金三らによって設立された総合芸術団体「砂丘社」とその周辺の作家たちに注目します。タイトルの「砂と泉」は砂丘社の詩人、河本緑石による宣言文『砂丘 創生之記』(1921)に由来しますが、「砂丘社」の「砂丘」は鳥取砂丘ではなく倉吉の北側、海沿いに広がる北条砂丘を指します。過酷な灌漑の歴史を持つ砂丘開拓地に湧いた「泉」のように、「未墾地」に「最初の鍬」を取るようにと始まった砂丘社の歴史を、源泉から今に続く水脈のひとつひとつを辿るように久保田はリサーチしてきました。本展で久保田の描くひとつひとつの線に、複数の郷土の作家たちの気配が感じ取れるかもしれません。

過去の企画展

久保田沙耶×渡邊太(鳥取短期大学地域コミュニケーション学科教授)
2024.12.14(土)14時-15時30分 
※予約は必要ありませんが入場料が必要です。

アーティストトーク

会期中作品はWebからも購入申し込みができます。

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